貸倒引当金の取扱い(国税庁長官の見解:法人税基本通達)

(貸倒引当金等の差額繰入等の特例)
11−1−1 法人が貸倒引当金その他法に規定する引当金につき当該事業年度の取崩額
と当該事業年度の繰入額との差額を損金経理により繰り入れ又は取り崩して益金の額に算
入している場合においても、確定申告書に添付する明細書にその相殺前の金額に基づく繰
入等であることを明らかにしているときは、その相殺前の金額によりその繰入れ及び取崩し
があったものとして取り扱う。


(取立不能見込額として表示した貸倒引当金)
11−2−1 法人が貸倒引当金勘定への繰入れの表示に代えて取立不能見込額として表
示した場合においても、貸倒引当金勘定への繰入れであることが総勘定元帳及び確定申告
書において明らかにされているときは、当該取立不能見込額は、貸倒引当金勘定への繰入
額として取り扱う。

(貸倒れに類する事由)
11−2−2 法第52条第1項第1号「貸倒引当金」に規定する「貸倒れその他これに類する
事由」には、売掛金、貸付金その他これらに類する金銭債権の貸倒れのほか、例えば、保
証金や前渡金等について返還請求を行った場合における当該返換請求債権が回収不能と
なったときがこれに含まれる。

(個別評価による繰入れの判定単位)
11−2−3 法人の有する金銭債権が法第52条第1項第1号「貸倒引当金」に規定する
「その一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれる金銭債権」であ
るかどうかは、当該金銭債権に係る債務者ごとに判定するものとする。
 (注) 同号の規定により貸倒引当金に繰入れを行った場合には、当該債務者に対して有
   する金銭債権の全額が同項第2号かっこ書に規定する「前号に掲げる金額の算定の
   基礎となったもの」に該当することに留意する。

(裏書譲渡をした受取手形)
11−2−4 法人がその有する金銭債権について取得した受取手形で当該金銭債権に係
る債務者が振り出し、又は引受けたものを裏書譲渡(割引を含む。以下11−2−4において
同じ。)した場合には、当該受取手形に係る既存債権を法第52条第1項「貸倒引当金」に規
定する金銭債権に該当するものとして取り扱う。
 (注) この取扱いは、その裏書譲渡された受取手形の金額が財務諸表等において確認
   できるように経理されている場合に適用する。

(担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額)
11−2−5 令第96条第1項第1号及び第3号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」に規定
する担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額とは、質権、抵
当権、所有権留保、信用保険等によって担保されている部分の金額をいうことに留意する。

(相当期間の意義)
11−2−6 令第96条第1項第2号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」に規定する「債務
者につき、債務超過の状態が相当期間継続しその営む事業に好転の見通しがないこと」に
おける「相当期間」とは、「「おおむね1年以上」とし、その債務超過に至った事情と事業好転
の見通しをみて、同号に規定する事由が生じているかどうかを判定するものとする。

(人的保証に係る回収不能額の算定)
11−2−6の2 令第96条第1項第2号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」に規定する
「当該金銭債権の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められるときにお
ける当該一部の金額に相当する金額」は、その金銭債権の額から担保物の処分による回
収可能額及び人的保証に係る回収可能額などを控除して算定するのであるが、次に掲げ
る場合には、人的保証に係る回収可能額の算定上、回収可能額を考慮しないことができ
る。
(1) 保証債務の存否に争いのある場合で、そのことにつき相当の理由のあるとき
(2) 保証人が行方不明で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権、
  抵当権(以下11−2−6の2において「質権等」という。)が設定されていること等により当
  該資産からの回収が見込まれない場合
(3) 保証人について令第96条第1項第3号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」に掲げる
  事由が生じている場合
(4) 保証人が生活保護を受けている場合(それと同程度の収入しかない場合を含む。)
  で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権等が設定されているこ
  と等により当該資産からの回収が見込まれないこと。
(5) 保証人が個人であって、次のいずれにも該当する場合
  イ 当該保証人が有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等に
   より、当該資産からの回収が見込まれないこと。
  ロ 当該保証人の年収額(その事業年度終了の日の直近1年間における収入金額をい
   う。)が当該保証人に係る保証債務の額の合計額(当該保証人の保証に係る金銭債権
   につき担保権がある場合には当該金銭債権の額から当該担保物の価額を控除した
   金額をいう。以下11−2−6の2において同じ。)の5%未満であること。
   (注)1 当該保証人に係る保証債務の額の合計額には、当該保証人が他の債務者の
      金銭債権につき保証をしている場合には、当該他の債務者の金銭債権に係る
      保証債務の額の合計額を含めることができる。
     2 上記ロの当該保証人の年収額については、その算定が困難であるときは、当
      該保証人の前年(当該事業年度終了日の日を含む年の前年をいう。)分の収入
      金額とすることができる。

(担保物の処分以外に回収が見込まれない金銭債権の個別評価による繰入れ)
11−2−6の3 令第96条第1項第2号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」に規定する
「その他の事由が生じていることにより、当該金銭債権の一部の金額につきその取立て等
の見込みがないと認められるとき」には、法人の有する金銭債権の額のうち担保物の処分
によって得られると見込まれる金額以外の金額につき回収できないことが明らかになった
場合において、その担保物の処分に日時を要すると認められるときが含まれることに留意
する。
 この場合において、同号に規定するその取立て等の見込みがないと認められる金額と
は、その回収できないことが明らかになった金額をいう。

(実質的に債権とみられない部分)
11−2−7 令第96条第1項第3号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」に規定する「当該
金銭債権の額のうち、当該債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられ
ない部分の金額」とは、次に掲げるような金額がこれに該当する。
(1) 同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合のその売掛金又は受取手
  形の金額のうち買掛金の金銭に相当する金額
(2)  同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合において、当該買掛金の
  支払のために他から取得した受取手形を裏書譲渡したときのその売掛金又は受取手形
  の金額のうち当該裏書譲渡した手形(支払期日の到来していないものに限る。)の金額
  に相当する金額
(3) 同一人に対する売掛金とその者から受け入れた営業に係る保証金がある場合のその
  売掛金の額のうち保証金の額に相当する金額
(4) 同一人に対する売掛金とその者から受け入れた借入金がある場合のその売掛金の額
  のうち借入金の額に相当する金額
(5) 同一人に対する完成工事の未収金とその者から受け入れた未完成工事に対する受入
  金がある場合のその未収金の額のうち受入金の額に相当する金額
(6) 同一人に対する貸付金と買掛金がある場合のその貸付金の額のうち買掛金の額に相
  当する金額
(7) 使用人に対する貸付金とその使用人から受け入れた預り金がある場合のその貸付金
  の額のうち預り金の額に相当する金額
(8) 専ら融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計
  上した場合のその受取手形のうち借入金の額に相当する金額
(9) 同一人に対する未収地代家賃とその者から受け入れた敷金がある場合のその未収地
  代家賃の額のうち敷金の額に相当する金額

(第三者の振り出した手形)
11−2−8 令第96条第1項第3号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」の規定を適用する
場合において、法人が債務者から他の第三者の振り出した手形(債務者の振り出し手形で
第三者の引き受けたものを含む。)を受け取っている場合における当該手形の金額に相当
する金額は、取立て等の見込みがあると認められた部分の金額に該当することに留意す
する。

(手形交換所の取引停止処分)
11−2−9 法人の各事業年度終了の日までに債務者の振り出した手形が不渡りとなり、
当該事業年度分に係る確定申告書の提出期限(法第75条の2「確定申告書の提出期限の
延長の特例」の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限)
までに当該債務者について規則第25条の3「更生手続開始の申立て等に準ずる事由」に規
定する手形交換所による取引停止処分が生じた場合には、当該事業年度において令第96
条第1項第3号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」の規定を適用することができる。

(国外にある債務者)
11−2−10 国外にある債務者について、令第96条第1項第1号又は第3号「貸倒引当金
勘定への繰入限度額」に掲げる事由に類する事由が生じた場合には、これらの規定の適用
があることに留意する。

(中央銀行の意義)
11−2−11 以下省略

(借入れ対象となる公的債務者に対する金銭債権)
11−2−12 令第96条第1項第4号「貸倒引当金勘定への繰入限度額」に掲げる金銭債
権は、次に掲げる金銭債権とする。ただし、以下省略

(取立て等の見込みがあると認められる部分の金額)
11−2−13 令第96条第1項第4号かっこ書に規定する「取立て等の見込みがあると認
められる部分の金額」とは、次に掲げる金額をいう。
(1) 当該金銭債権につき他の者(当該法人の当該他の者に対する金銭債権につき債務不
  履行が生じている者を除く。以下(4)において同じ。)により債務の保証が付されている場
  合の当該保証が付されている部分に相当する金額
(2) 当該金銭債権につき債務の履行不能によって生じる損失をてん補する保険が付されて
  いる場合の当該保険が付されている部分の金額
(3) 当該金銭債権につき質権、抵当権、所有権留保等によって担保されている場合の当該
  担保されている部分の金額
(4) 当該公的債務者から他の者が振り出した手形(当該公的債務者の振り出した手形で他
  の者の引き受けたものを含む。)を受け取っている場合のその手形の金額に相当する金
  額等実質的に債権と認められない金額

(売掛金、貸付金に準ずる債権)
11−2−14 法第52条第1項第2号「貸倒引当金」に規定する「その他これらに準ずる金
銭債権」には、次のような債権が含まれる。
(1) 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家
  賃等又は貸付金の未収利子で、益金の額に算入されたもの
(2) 他人のために立替払をした場合の立替金(11−2−16(4)に該当するものを除く。)
(3) 未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの
(4) 保証債務を履行した場合の求償権
 (注) 法人がその有する売掛金、貸付金等の債権について取得した先日付小切手を同項
   に規定する金銭債権に含めている場合には、その計算を認める。

(裏書譲渡をした受取手形)
11−2−15 法人がその有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(以下この
款において「売掛債権等」という。)について取得した受取手形につき裏書譲渡(割引を含む。
以下11−2−15において同じ。)をした場合には、当該売掛金、貸付金等の既存債権を売
掛債権等に該当するものとして取り扱う。したがって、裏書により取得した受取手形(手形法
(昭7年法律第20号)第18条第1項本文又は第19条第1項本文に規定する裏書により取
得しものを除く。)で、その取得の原因が売掛金、貸付金等の既存債権と関係のないものに
ついて更に裏書譲渡をした場合には、その受取手形の金額は売掛債権等の額に含まれな
いことに留意する
(注) この取扱いは、その裏書譲渡された受取手形の金額が財務諸表等において確認でき
   るように経理されている場合に適用する。

(売掛債権等に該当しない債権)
11−2−16 次に掲げるようなものは、売掛債権等には該当しない。
(1) 預貯金及びその未収利子、公社債の未収利子、未収配当その他これらに類する債権
(2) 保証金、敷金(借地権、借家権等の取得等に関連して無利息又は低利率で提供した協
  力金等を含む。)、預け金その他これらに類する債権
(3) 手付金、前渡金等のように資産の取得の代価又は費用の支出に充てるものとして支出
  した金額
(4) 前払給料、概算払旅費、前渡交際費等のように将来精算される費用の前払として一時
  的に仮払金、立替金等として経理されている金額
(5) 金融機関における他店為替貸借の決済取引に伴う未決済為替貸勘定の金額
(6) 証券会社又は証券金融会社に対し、借株の担保として差し入れた信用取引に係る株式
  の売却代金に相当する金額
(7) 雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定に基
  づき交付を受ける給付金等の未収金
(8) 仕入割戻しの未収金
(9) 保険会社における代理店貸勘定(外国代理店貸勘定を含む。)の金額
(10) 商品先物取引又は債券先物取引における差金勘定の金額
(注) 仮払金等として計上されている金額については、その実質的な内容に応じて売掛債権
  等に該当するかどうかを判定することに留意する。

(割賦未収金等)
11−2−17 法人が長期割賦販売等に該当する資産の販売等に係る収益について延払基
準を適用している場合には、当該長期割賦販売等により生じた割賦未収金等は売掛債権等
に該当するものとする。この場合において、法人が各事業年度終了の時において履行期日の
到来しない部分を割賦未収金等としないで棚卸資産等として経理しているときであっても、そ
の棚卸資産等の帳簿価額に相当する金額は売掛債権等の額に該当するものとする。
(注) 平成10年改正附則第9条「割賦販売等に関する経過措置」の規定の適用を受けた割賦
   販売等に係る割賦未収金等についても、同様とする。

(工事進行基準を適用した場合の未収金)
11−2−18 法人が工事(製造を含む。以下11−2−18において同じ。)の収益について法
第63条第1項又は第2項「工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度」に規定する工事
進行基準を適用している場合には、たとえ当該収益に対応する工事収入金を未収金として計
上しているときであっても、当該工事の目的物の引渡しがあるまでは当該未収金は売掛債権
等に該当しないことに留意する。

(返品債権特別勘定を設けている場合の売掛債権等の額)
11−2−19 省略

(貸倒損失の範囲ー返品債権特別勘定の繰入額等)
11−2−20 以下省略

                以 上 終 わ り