貸 倒 引 当 金 の  概  要
得意先の業績不振や手形の不渡りにより、債権の回収が困難になる場合には、貸倒れの見込額を貸倒引当金に計上することができます。
● 繰入限度額は個別評価と実績率の二本建
貸倒引当金の繰入限度額は、期末の金銭債権を@その一部につき回収不能が見込まれる「個別評価金銭債権」と、Aその他の一括して評価する「一括評価金銭債権」とに区分してそれぞれ繰入限度額を計算しますが、個別評価金銭債権については債務者ごとに回収不能見込額を計算し、一括評価金銭債権については過去3年間の貸倒実績率を乗じて 計算します。



- 個別評価金銭債権(一部回収不能見込金銭債権)
債務者ごとに個別評価
そ の 他
回収不能見込金額
貸倒引当金繰入限度額
一括評価金銭債権 (一般売掛債権等)
× 貸倒実績率(特例あり)
回収不能 見込金額
貸倒引当金 繰入限度額
金銭債権の範囲(貸倒引当金の対象となるもの)
○売掛金、貸付金、受取手形など
○裏書(割引)譲渡した手形の既存債権
○資産譲渡の未収金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃、貸付金の未収利子、未収の
  損害賠償金など
○他人のために立替払をした立替金(労働保険料の被保険者負担金)
○保証債務履行の求償権
○売掛金、貸付金などについて取得した先付小切手(法人が金銭債権に含めたもの)
個別評価する金銭債権の場合
繰り入れ対象となる個別評価金銭債権 - 繰 入 限 度 額
○会社更生法等の規定による更正計画認可決定等の事由で弁済の猶予又は
  賦払による弁済とされた債権
その事由が生じた事業年度後5年以内に弁済される金額以内
○債務者について債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがな
  い債権
取立ての見込みがないと 認められる金額
○会社更生法の規定による更正手続開始等の申立て等がなされた者に対する
  債権
50%
○長期にわたる債務の履行遅滞により経済的価値の著しい減少又は弁済を受
  けることが著しく困難と認められる外国の政府、中央銀行等に対する債権
50%


一 括 評 価 す る 金 銭 債 権 の 場 合
(貸倒実績率の計算)
○(その事業開始の日前3年以内に開始した各事業年度の売掛債権等の貸倒損失の額 + その各事業年度の個別評価分の引当金繰入額−その各事業年度の個別評価分の引当金戻入額)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(A)
○(A)の各事業年度の月数の合計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (B)
○(A) × 12/(B)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (C)
○その事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度終了の時における一括評価金銭の帳簿価額の合計額:(D)
○(D)の各事業年度の数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (E)
○(D)/(E)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (F)

○(C)/(F)=貸倒実績率

中 小 法 人 の 特 例(期末資本金1億円以下の普通法人等)
貸倒実績率に代えて下記の法定繰入率を選択することができる。
 (注)  法定繰入率を適用する場合には、対象となる金銭債権は債務者との間で相殺できるものや債務者から受け入れた
    保証金の金額などがあるためその全部又は一部が実質的に債権と認められない部分を控除する。
NO 区                       分 法  定  繰  入  率
1 卸売及び小売業(飲食店業、料理店業を含む。)         10/1,000
2 製造業(水道業、修理業等を含む。)       8/1,000
3 金融及び保険業         3/1,000
4 割賦販売小売業        13/1,000
5 1〜4以外の事業        6/1,000
* 中小法人以外の法人に対する特例は平成15年4月1日以後開始する事業年度から廃止された。
● 実質的に債権とみられない金銭債権とは
法人が法定繰入率を適用している場合、同じ取引相手にに売掛金と買掛金があるなど実質的には債権とみられない金銭債権がある場合はその部分を売掛債権等から控除します。具体的には以下にようなものがあります。なお、これに代えて簡便法も選択で適用できます。
 同一の相手の債権等 同 一 の 相 手 の 債 務 等
 売掛金・受取手形  買掛金・支払手形
 売掛金・受取手形  買掛金支払いのための受取手形の裏書譲渡
 売掛金  受入営業保証金
 売掛金  借入金
 完成工事未収金  未成工事受入金
 貸付金  買掛金
 従業員貸付金   その従業員からの預り金
 未収地代家賃  受入保証金等
(簡便法による実質的に債権と認められない金額)
○ 期末売掛債権等の合計額・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(A)
○ 基準年度の各期末の一括評価金銭債権の額の合計額・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(B)
○ (B)の期間における実質的に債権と認められないものの合計額・・・・・・・・・・・ (C)
○ (C)/(B) 但し、小数点3位未満の端数切捨て・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(D)
○ (A) × (D)= 実質的に債権と認められない金額・・少数点3位未満の端数切捨て
○ 基準年度は平成10年4月1日〜平成12年3月31日までの間に開始する事業年度である。
実 務 の ポ イ ン ト
○個別評価する金銭債権の取立不能見込額の算定は妥当か
○貸倒実績率の算定は適正になされているか
○法定繰入率の適用誤りはないか
○法定繰入率を選択している場合、債務者に対する買掛金、借入金など実質的に債権と認められない部分を債権から控
  除しているか

             *四日市法人会向けに掲載